国内起債市場を斬る 起債評価:4/2~4/6

2018年度の起債市場の幕開けである。当然のように、10年長期国債の入札から10年物市場公募地方債と進んで、それから財投機関債や民間の社債の募集となる。もっとも現在では、市場公募地方債も個別に条件が決定されるために、10年債だけを取っても、募集は2週間程度で分散して行われる。社債や財投機関債は、さらに、日程が区々である。もっとも、近年は休み明け直ぐを避け、追い詰められたかのような金曜日の募集が多く見られている。実際のところ、募集に関しては当日の午前中にはほぼ終わっているだろうから、すっきりして週末を迎えられるということだろう。

今年度の頭は、いつもの顔触れと言って良いだろう。財投機関、電力、ノンバンクに商社と鉄道が加わって、業種としてはお馴染みのところである。財投機関債は、日本政策投資銀行の3年・5年・10年の三本立てに、住宅金融支援機構の5年・10年・20年の三本立てが募集されている。前者は合計900億円、後者は合計700億円で、二つの発行体だけで系1,600億円を募集したのである。もっとも日本政策投資銀行は3年債200億円と5年債400億円、住宅金融支援機構は5年債500億円で、中短起債のウェイトが大きく、市場を荒らすような展開とはならなかった。

電力債は、中国電力10年、北海道電力10年・20年、北陸電力20年と発行体3社が募集したものの、金額は合計でも700億円に留まっている。月央にも東京電力パワーグリッドの起債観測があるようで、投資家は無理して購入していないようだ。結果的に、割高感のあるタイトなスプレッドとなった中国電力の10年債は苦戦したようである。どうも10年債が苦戦する傾向にあるのは、住友商事の売行きでも同様である。住友商事は今回の起債が第55回債と決してフリークエントイシュアーではないのでレアモノ、グッドネームを期待するところだが、利回りが思わしくないと年度初めだからといって、投資家が飛びつくようなことにならない。

相変わらず売行きの良いのが、20年債であることは言うまでもない。北海道電力のクーポンが0.754%、西日本鉄道が0.753%と、10年債0.3~0.4%程度のクーポン対比では倍近い。年間の利息収入を確保するという目的からは、早いタイミングで高いクーポンの債券を買うのが手っ取り早い。しかも、電力や鉄道といった信用リスクが低く安定していると考えられる業種の債券は、より魅力的である。どうやら今年度も、日銀オペ見合いの3年債と超長期債が良好な売行きとなる「ダンベル市場」の可能性が高そうだ。