国内起債市場を斬る 起債評価:4/9~4/13

前週に募集された銘柄は、財投機関、電力、ノンバンクに商社と鉄道という顔触れであったが、この週は、ノンバンクに電力、地方公共団体金融機構に化学メーカーとなった。前週からの再登場がノンバンクに電力で、目新しいのが化学メーカーである。

 

前週に募集された電力債は、中国電力、北海道電力に北陸電力であったが、この週に東京電力パワーグリッドと関西電力が募集した結果、残りは中部電力、東北電力、四国電力、九州電力、沖縄電力となった。前年の4月は、中国電力・北海道電力→関西電力→東北電力→北陸電力→九州電力といった募集順であった。東京電力パワーグリッドの募集は昨年度前半が安定していなかったために外すとすれば、順当に電力債の募集が進んでいると言って良いだろう。

 

今週は、東京電力パワーグリッドと関西電力がともに10年債を募集している。前者のクーポンが0.77%で、後者のクーポンが0.435%と水準が大きく異なっている。関西電力の20年債はクーポンが0.759%と、東京電力パワーグリッドの10年債を下回っている。投資家がどの銘柄・年限を好むかは、自明であろう。ただし、東京電力パワーグリッドの格付けは、BBB+(R&I)格及びA(JCR)格と、関西電力のA(R&I)格及びAA-(JCR)格と各々2ノッチの差がある。この差が利回りの違いにどう反映しているかを考える必要があるだろう。

 

化学メーカーとしては、住友化学が10年債200億円及び20年債300億円、DICが5年債100億円を募集している。年限の面で無理のないのは5年債だろうし、利回りで魅力的なのは20年債であろう。住友化学の20年債は0.9%クーポンであり、同日に募集された地方公共団体金融機構の30年債の0.85%クーポンを上回る水準である。20年債は当初200億円程度の募集予定から、募集金額が300億円に増額されたが、10年債は200億円に留められた。引続き、年限によっては、慎重な発行条件の決定が必要であるということだろう。

 

ノンバンクの社債は年限が中短期、超長期と分散しているが、いずれも消化状況は良好なようである。特に、クレディセゾンの20年債は、ノンバンクとしては長過ぎると思える20年債であるが、0.99%クーポンとすることで、投資家の需要を集めたようである。3年債については、もはや日銀オペ見合いの強いニーズがあることは否定する必要もないだろう。株式ETFの購入もそうだが、日銀による強力な金融緩和の副作用が随所に現れている。金融政策で掲げた目標を達成できるのであれば良いが、副作用ばかりが顕在化しており、これが長期に続いていることをどう考えるべきか、そろそろ真剣に議論すべきと考える。