国内起債市場を斬る 旧正月特別号:2019年の投資環境を考える

投資家の多くは、2018年度決算の着地を睨みつつ、来年度の投資計画を検討していることだろう。特に、株価や米国金利が大きく変動している中では、如何にリターンを獲得するかは、例年以上に頭を悩ませることになるだろう。米国の利上げが停止されるという観測からは、米金利の上昇が緩やかになるという想像ができる。となれば、為替の要因を無視すれば、米債への投資が妙味を持つ可能性はある。一方、株価が変動し、特に、過去数年のような上昇トレンドにならないと考えるなら、為替は横ばいから、やや円高になる可能性を念頭に入れておくべきだろう。為替変動によって、円投からの米債の投資妙味は相殺されてしまうかもしれない。

外債と株式が投資対象の中で相対的に後ずさりするならば、国内債券への投資が必然的に消去法で残ってくる。日銀は、依然強力なイールドカーブ付量的質的金融緩和を、物価安定の目標を実現できるまで継続すると明示しており、執行部の退任や政権によるサポートの喪失といった事態が起きない限り、国内の低金利は続くだろう。昨年の夏にあった金利上昇懸念は、あくまでも米国の金利上昇と、それによる円安懸念を背景としたものであり、日本国内の要因からの金利上昇は見通しが立たない。仮に金利が上昇する事象が生じたとしても、イールドカーブコントロールで吸収されてしまうだろう。

米中の経済戦争だけが中国の景気後退の要因ではないだろう。そして統計操作が中国だけの問題でないこともわかった。なかなか投資対象の選択に自信は持てない環境が続くだろう。企業業績が低迷するなら、金利が低い環境において、信用リスクやデュレーションリスクを取ることで平均利回りを引上げるという手段にも、自制が必要である。かといって、不動産やインフラ投資といったオルタナティブ資産に向かうのも、高値掴みになる可能性が極めて高い。かなり八方塞がりの投資環境が、2019年度には待っていると考えられるのである。

簡単なソリューションは存在しないだろう。慎重に環境や投資対象を分析しつつ、分散効果を意識することが唯一の答えなのかもしれない。とは言え、過去を振り返ると、世界金融危機のような大きなショックが生じた場合には、国内債券以外に対する投資は軒並みマイナスのリターンとなった。そうなると、国内債券の利回りがプラスになったと言っても、他の資産の大きなマイナスをカバーするには不十分なものにしかなり得ない。投資家にとっては、辛抱の求められる新元号の初年度になるのではなかろうか。