国内起債市場を斬る 起債評価:2/5~2/15

2月に入っても、起債市場は引続き閑散期にある。この2週も、月初めから続く公共債が起債のほとんどを占めている。前半の週末である8日に盛り上がりを見せたとは言え、ほぼ公共債が主体である。分類学上、新関西国際空港や西日本及び阪神の高速道路は、社債と言えなくもないのだが、新関西国際空港の起債は財政投融資計画に基づくものであって、財投機関債とされるべきものである。西日本及び阪神の高速道路会社による社債は、確かに社債ではあるものの、日本高速道路保有・債務返済機構による重畳的債務引受条項が付されており、最終的には財投機関債発行団体の債務に帰すため、実質的な財投機関債と同等の枠組みにあるものと考えられる。したがって、広い意味での公共債カテゴリーに属するものと考えて良いだろう。

唯一例外の位置付けにあるのが、キューピーの社債であった。食品メーカーに位置付けられる同社は、11月期決算を採用しているため、12月期や3月期決算企業とは異なるタイミングでの社債募集が可能になったものである。こうした決算期の異なる企業は、もっと他社と異なる時期での社債募集を考えると良いのだが、右に倣えの体質が強い企業の場合には、なかなか踏み切られないことが多いようである。

建国記念の日からはじまった週に入っても、状況には大きな変化が見られない。相変わらず、首都高速道路の社債は、実質的な財投機関債とみなされる。その他に債券を募集したのが、地方公共団体金融機構である。月例の10年債200億円を募集した後に、15日の金曜日に40年債をフレックス枠の中で募集している。10年債は、国債利回りのマイナス水準への低下もあって、クーポン0.166%で国債対比スプレッド+17bpsと見るも無残な状況である。一方、40年債は同機構にとって初めての募集となる。厳密には、FLIPに基づく債券として、40年債の募集履歴はあるのだが、引受シ団を組んでの起債としては初めてであり、40年第1回債の回号を得ている。国債対比+20bpsと10年債を上回るスプレッド水準を付されたものの、クーポンは0.882%と1%にも満たない。当座の利回り確保目的の投資対象としては、信用力と流動性の観点から問題ないが、将来の金利水準の変動に対しては、懸念を抱かざるを得ない。

いつまで低金利が続くかというのは日本国内のすべての債券投資家が持つ疑問であり、日銀による強力な金融緩和が暫く続くことが確実視されるものの、40年という長いタイムスパンにおいては、環境の変化が確実視される。「何時まで続くか低金利、何時までも続かぬ低金利」と観るのが一般論だ。低金利が更に30年、40年と続いているならば、日本経済は緩やかな停滞を続けているだろうし、そもそも停滞経済において金利水準は安定を欠くことになると思われるために、持続可能性が疑われるのである。消去法で残った選択肢なのかもしれないが、40年は持ち続けられるとは誰も思っていないのだろう。