国内起債市場を斬る 起債評価:9/28~10/2

下期入りを待っていたかのように、複数の社債等が募集された。ちょうど1年前にあたる時期の社債等の募集を見てみよう。本年はうるう年であったため、2019年の同時期は10月3日が木曜日、4日が金曜日であった。昨年の木曜に募集されたのは、阪神高速道路・電源開発・ジャックス・東京電力パワーグリッド・クレディセゾンの5社であり、金曜に募集されたのが中国電力・ソニー・セガサミーホールディングス・リコーリース・首都高速道路・ダイキン工業・日本政策投資銀行・ニッコンホールディングス・新生銀行・北海道電力・住宅金融支援機構と既にプチ起債ラッシュとも見える状況になっている。

2020年は10月1日が木曜であり、昨年ほど2日の金曜に起債が集中することはなかったが、10月に入った二日間で募集されたのは、みずほリース・阪神高速道路・首都高速道路・東京電力パワーグリッド・クレディセゾンの計5社である。昨年の同時期と比較してみると、社債募集が重なっていないのは、みずほリースのみであって、他の4社は同様に下期入りした瞬間とも言える10月最初に社債を募集している。こうした発行体の癖というか傾向を見ておくと社債等の募集タイミングを予測することが可能になる。

昨年の起債内容と比較してみよう。阪神高速道路は2019年が1年債550億円に対し、2020年は4年債350億円を募集している。1年債はレアな募集年限である。なお、前年の1年債からソーシャルボンドの認定を得ており、2月の前回は3年債と、徐々にソーシャルボンドによる調達年限を伸ばしている。一方の首都高速道路は2019年の5年債400億円と発行額は大きく変えず、5年債を360億円募集している。前年のクーポン0.03%に対し、今年のクーポンは0.07%と水準が異なる。利息が倍返しになったと考えるか、わずかに4bps増えたと考えるか、投資家の印象も其々であろう。

東京電力パワーグリッドは、前年が5年債700億円・10年債700億円・15年債600億円の計2,000億円であったが、今年は6年債500億円及び12年500億円の計1,000億円と募集額を半減している。年限の設定は、償還年限の分散を図ったものと考えられるが、昨年の10年債は0.98%クーポンであり15年債は1.28%クーポンであった。両者を足して2で割ると1.13%になり、今回の12年債のクーポンと一致する。絶対金利水準で募集するのが同社の社債募集の常であるが、意外にも、こういう簡単な決まり方をしているのかもしれない。

クレディセゾンは2019年に7年債100億円を募集したのに対し、今年は10年債100億円を募集している。クーポンは0.23%から0.4%に上昇しているが、年限延長から当然の結果であろう。