国内起債市場を斬る 起債評価:1/11~1/14

新年の起債市場は、正月三が日の曜日次第でもあるが、成人の日が移動祝日になって以来、実質的には三連休明けから募集開始ということになる。今年の最初の10年長期国債の入札は1月5日に行われており、10年物の全国型市場公募地方債は翌日以降に募集され始めているが、民間企業等の起債に向けた動きは鈍くなる。市中消化に向けた投資家へのヒアリング等手順を踏んでいると、どうしても募集は三連休明けになるし、休日明けてすぐに社債等を募集しない日程からは、14日の金曜日に募集が集中するのもごく自然なことだろう。

それでも、12日の水曜日には地方公共団体金融機構が10年債及び20年債を募集し、13日の木曜日にはJERAが3年債及び19年債を募集している。これらが先駆けとなったものの、14日の案件集中はすさまじい。それでも先行した二つの発行体と共通する特徴として、公共セクターと電力が目立つことである。1月は2021年度最終四半期の頭であり、当然、募集される社債等も多い。中でも、公共セクターと電力関連が中心になるのは、当然予想された通りである。銀行やノンバンクは追って出て来るものと考えられる。

14日に募集された公共セクターと電力関連の社債等を羅列するだけでも、日本政策投資銀行、東日本高速道路、日本学生支援機構、住宅金融支援機構といった公共セクターに加えて、東北電力、九州電力、電源開発、四国電力、中国電力と電力関連の社債発行会社の半数近くを挙げることが出来る。既に前日に社債を募集していたJERAを除くと、残っているのは、北海道電力・東京電力パワーグリッド・中部電力・北陸電力・関西電力・沖縄電力といったところだけである。

公共セクター及び電力関連の社債等の中においても、東日本高速道路の5年債・7年債・10年債の全年限はソーシャルボンドの認定を得ているし、日本学生支援機構の2年債もソーシャルボンドである。住宅金融支援機構の募集したうち10年債はグリーンボンドになっている。電力関連の社債の中でも、電源開発が募集した10年債はグリーンボンドになっているし、他に、東日本旅客鉄道の募集した10年債はサステナビリティボンドの認定を得ている。

このように、引続き、SDGs債の募集が多く見られており、起債観測の上がっている銘柄の中でもグリーンボンドやサステナビリティボンドを準備しているというものが少なくない。結局のところ、多くの投資家は社債等を購入する際に、単純な利回りの高低だけではなく、付加されているストーリーを欲しているのである。購入の判断において、最後の一押しとなる材料があるかないかは、起債が受け入れられるかどうかの大きな差となっているのかもしれない。