国内起債市場を斬る 起債評価:8/8~8/12

旧盆で市場参加者が夏休みモードになる前に、起債市場は細々と動いている。本格的には、8月下旬から9月中旬の起債シーズンの展開となると思われる。既に一部の大手メーカーが起債を行う方針を公表しており、賑やかな市場になることが期待される。ただし、日本銀行の金融政策決定会合が20日と21日に予定されており、期待されている追加緩和の前に募集することになるのである。

この週の具体的な動きとしては、前週の10年長期国債の入札を受けて、地方債の募集が続く中、地方公共団体金融機構が10年債200億円を募集した他、丸井グループが3年債150億円と5年債100億円の二本立てを募集している。丸井グループの格付けはR&IのA-格であり、必ずしも高格付けというポジションではないが、他の起債と重ならないタイミングでの募集が、奏効したと言って良いだろう。社債の売れ行きは順調だったようである。

丸井グループは、基本的に小売業と認識されているが、エポスカードのブランドで金融業務も行っている。かつての「赤いカード」をエポスカードにブランド変更したもので、ようやく10年が経過したところである。なお、丸井グループの決算開示におけるセグメント情報では、2016年度からカード・サービス・ITを中心としたフィンテック事業と区分が変更されている。外部から見たら、何がフィンテックなのか?単なる流行語を用いただけではないか?と疑問を感じるのであるが、「エポスカードのお申込みや発行、安心してご利用いただくためのセキュリティなど、あらゆる場面でITとカードの融合を進化させてまいりました。今後はさらなる技術革新により利便性向上や 金融の新たなサービスをご提供することで、会員数の拡大とご利用率・ご利用額の向上をはかり、事業基盤 の強化に取組む」とのことであり、今後の展開に期待したいものである。

小売事業については、引続き、首都圏及び関西の大都市が中心であり、爆買に依存することのない比較的に安定した売上を維持している。今年の4月には新しく博多に出店しており、初めての九州進出となっている。更に、北九州や熊本への出店意向を示していることから、今後、九州での事業拡大が実施される可能性も見られている。なかなか小売事業の場合、長期の社債は事業特性からなじまないが、今回の起債は3年債と5年債であり、無理な年限設定とはなっていない。3年債の0.05%は、投資家からは魅力的な利回りと見られたのであろう。当初予定の100億から150億に増額されたのも理解できる。

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