国内起債市場を斬る 起債評価:9/12~9/16

上期の起債シーズンが最後となる週である。特に今年のカレンダーでは、19日の週が月曜に敬老の日で、木曜が秋分の日となっているため、ほぼ日程から機能しないことに加えて、日本銀行の金融政策決定会合が20日・21日に予定されており、社債の買入対象拡大を検討される可能性があり、ますます動けなくなってしまう展開である。そのため、主に15日と16日とに大量起債が行われている。ただし、募集金額という意味では14日にイオンが劣後債を計465億円募集しており、その他の銘柄を合わせると同日も決して小さくない。日本の社債の歴史を考えると、破綻した発行体の代表としてヤオハンやマイカルといった小売が目立っており、事業内容を考えると、超長期の与信を行い難い業種である。イオンの募集した劣後債は、5年経過後償還可能な30年債であり、決して単純な超長期債ではないが、財務内容が悪化しコールしなかった場合には、超長期の与信となる可能性のあることを意識しておかなければならない。もっとも固定利付きの当初5年2.17%クーポンは、他の起債よりも圧倒的に高水準の利回りである。

起債の多くは15日と16日に集中した。業種としては、運輸・金融・製鉄・機械・電気機器・輸送用機器と幅広い。ノンバンクも多いが、メーカーが少なからず起債している。全般的に格付けは、Aゾーンの銘柄が多い。BBBゾーンの銘柄は、SBIホールディングスとサンケン電気である。

引続き、超長期の起債も多い。日立物流は、日立製作所グループ佐川急便グループに属する運送会社であるが、A(R&I)格の企業であり、格付けからも業種からも15年債は長過ぎる感が強い。しかし、他の5年債及び10年債とともに、順調に消化された模様である。新日鐵住金もかつては優良企業として揺るがない地位を占めていたが、合併後初の公募債として10年債と15年債を募集したが、やや割高な条件を付したために、消化は困難であったようだ。超長期の起債は適切でなかった可能性が高い。一方、東京急行電鉄は鉄道会社であり、20年債及び30年債の募集は親和性が高い。そして、アイシン精機の起債は10年債及び20年債を募集したが、トヨタ自動車と親密な部品メーカーであり、R&IのAA-格及びS&PのA+格という高水準のために、20年債も比較的投資家に受入れられ易い。

相対的に高格付けのノンバンクでは、リコーリースと日立キャピタルが3年債を0.001%の最低クーポンで募集している。日本銀行による買入れを意識した3年という年限設定であり、投資家の実需に即したものとはいえない。

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