国内起債市場を斬る 起債評価:1/23~1/27

1月の起債市場は急速に萎んでしまった。サムライ債や投資法人債(森ヒルズリート、アクティビア・プロパティーズ)を除くと、金曜日に条件決定されたのは、芙蓉総合リースの5年債100億円と日本学生支援機構の2年債300億円の計2本のみである。

芙蓉総合リースは、みずほ(旧富士銀行)系のリース会社である。みずほフィナンシャルグループは、普通銀行のシステムをまだ統合できていないことが有名であるが、一方で、系列のリース会社が整理、統合していない。旧第一勧業銀行系の東京センチュリーは、伊藤忠商事との関係を強めている。また、興銀リースも、旧興銀の名前を冠した唯一の上場会社として残っている。そして、今回の発行体である芙蓉総合リースと、各々の銀行系列のリース会社が個別に存在している。業界内順位は、東京センチュリーが第4位、興銀リースが第8位で、芙蓉総合リースは第5位とされている。

なお、前週に社債を募集したJA三井リースは第6位、三菱UFJリースは第3位とされる。ちなみに、JA三井リースは三井物産の子会社と農協系の協同リースが合併した企業であり、三井住友フィナンシャルグループとの関係は弱い。三井住友フィナンシャルグループのリース会社は、三井住友ファイナンス&リースであり、業界内第1位とされる。このようにリース会社については、銀行系とグループ企業と複数系統があり、その他に独立系のリース会社もあるの。ちなみに、三菱UFJリースは3年債も募集しているが、三つのリース会社はいずれも5年債を募集しており、JA三井リースと芙蓉総合リースが0.2%クーポンで、三菱UFJリースが0.15%クーポンとなっている。なお、格付けは、R&IでJA三井リースと芙蓉総合リースがA-格で三菱UFJリースがA+格、JCRでJA三井リースと芙蓉総合リースがA格で三菱UFJリースがAA-格である。なお、リース三社による計4本の起債は、いずれも100億円で募集されている。金額があまり大きくないこともあって、順調に消化されているようだ。ただし、三菱UFJリースは起債頻度が高いので今後の状況を注視したい。回号で見ると、JA三井リースが第6回債、芙蓉総合リースが第13回債であるのに対し、三菱UFJリースが募集したのは第47回債及び第48回債であった。

日本学生支援機構の2年債は、0.001%クーポンと最低水準に設定されている。同機構の財投機関債は、文部科学省系の投資家によって順調に消化されるのが常である。何しろ公立学校共済組合、日本私立学校振興・共済事業団という二大共済組織に加えて、国公立大学法人や私立学校法人の基本財産運用も存在するのである。買い手となる投資家には事欠かないと言って良いだろう。

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