国内起債市場を斬る 起債評価:2/20~2/24

メーカー、ノンバンク、電力、不動産等色々な業種の起債が見られ、同時に、フリークエントイシュアーだけでなく、今回の起債が一桁回号の起債も幾つか見られる。相変わらず、3年債の0.001%クーポンという日銀オペ見合いの起債が横行している。これは、日銀が購入対象とするだけの理由によるプライシングである。JCRの格付けで見てAA格の大和ハウス工業でも、AA-格の日立キャピタルでも、A-格の東急不動産ホールディングスでも、R&IでA+格の日産フィナンシャルサービスでも、全て0.001%クーポンという条件を並べると、発行市場は適正なプライシングの目線を完全に失っていると言っても過言ではない。

3年がもっとも短い起債年限とすれば、超長期の起債は売行きがよいものの、やや金利上昇を受けて、発行が鈍っている。NTTファイナンスの15年債、三菱地所と北陸電力の20年債といずれも100億円の計300億円しか募集されていないのである。これも年限の面での一つの変化であろう。15年債で0.5%超、20年債で0.9%前後のクーポンは、絶対金利水準では引続き魅力的である。しかし、11月上旬以降の金利上昇を見ると、安易に超長期債に投資し辛いし、発行体もプライシングに踏切るのは躊躇するところである。年度内には、まだ超長期債の募集予定もあるようなので、今後の展開は注目しておきたい。

こうした年限のバリエーションがある中で、ほぼ売行き不調で揃ったのが、10年債であろう。かつては、5年債・7年債・10年債の組合せが多く、投資家のニーズが集まる5年債と10年債が順調に売れても、7年債の消化に苦戦するというのが定番であった。ところが、最近の起債市場では、日銀見合いの3年債と、絶対水準の利回りを稼ぐことの出来る超長期債が安定した需要を集めており、7年債よりも、同様に利回りの確保できない10年債の消化不良が続出している。引続き、発行体側は10年債を主な調達年限と考えているようだが、10年債は利回り不足の観点で投資家の目線から外れており、条件設定を適切に行わなければ、悲惨な売行きとなってしまう。この週の起債でも、10年債のほとんどが、売れなかったようである。一部、レアな起債銘柄のみが順調に消化されたようである。

結局、イールドカーブの形状を考慮しつつ、適切な調達年限を選ぶことが重要である。既に、10年国債利回りはプラス圏で定着しており、歴史的には低水準とは言え、イールドカーブ・コントロールの目標水準を引上げるのではという観測が上がっている中では、10年債の発行はやや逆風環境にいるようである。とは言っても、スプレッドをしっかり払えば、年限を問わず、無事消化できるのは当然のことである。こうした環境下、投資家の目線に合った条件決定に期待したい。

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