国内起債市場を斬る 起債評価:4/17~4/21

4月の起債市場は、14日の金曜日がピークであったようだ。発行体の数でも、金額の意味においても明かであった。ブリヂストンによる3本立て計1,500億円の募集が、その象徴であった。この週に入って、地方公共団体金融機構がFLIPに基づく起債を行っているために、本数と言う意味では多くなっているが、FLIPの最低金額である30億円の起債も多く、本数の割に盛り上がりを欠いている。メーカーによる起債という意味でも、宝ホールディングスが3本立ての募集を行っているが、50億円ずつであり、金額は積み上がらない。唯一、損保ジャパン日本興亜が劣後債を1,000億円募集しているが、60年債で当初10年は期限前償還しない設定であり、通常の社債と同列に扱うべきではない。

こうした起債環境で引続き目を引くのが、日銀オペ見合いの3年債と超長期の起債である。超長期の起債としては、損保ジャパン日本興亜の劣後債の他に、日本政策投資銀行が15年債を募集し、日本高速道路保有・債務返済機構が40年財投機関債を、前年度に引続いて一般的な通常の債券400億円に加えて、利子一括払いの債券200億円を募集している。クーポンは前者が1.138%で、後者が1.242%に設定されている。金利水準が一定であれば、大きな差ではないように見えるが、将来金利は上昇すると考えた場合に、利息収入を再投資する効果を考えると、明らかに通常の債券の方が有利である。会計的には利子一括払いでも、利息収入を計上できるが、あくまでも未収利息である。経済効果と会計効果が異なることを意識しておかなければならないだろう。

3年債を募集したのは、テルモの100億円と豊田自動織機の200億円である。いずれも3年以下の既発債を対象とした日銀オペに持ち込まれるものと考えられるが、実は、日銀の社債買入れオペに変化が見られていることに留意しておきたい。日銀による社債買入れオペは、月に1回オファーされ、最近では750~1,250億円(2016年3月は1,500億円と大きかった)の金額が提示されている。平均落札利回りは、日銀によるマイナス金利政策が導入された昨年2月中旬以降のオペでは、マイナス利回りとなっていた。しかし、この4月18日にオファーされた買入れオペの実績では、平均落札利回りが0.000%と13ヶ月ぶりにマイナス利回りから脱したのである。3年物社債の最低クーポンは0.001%であるが、オーバーパー発行が見られており、テルモお3年債も100.002円で募集されている。これらの社債だと、日銀オペに持ち込んでも売却益が得られなくなる可能性がある。今後の日銀による社債オペの状況次第では、これまで強かった3年債に対する需要が霧消してしまうかもしれない。

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