国内起債市場を斬る 起債評価:7/3~7/7

3月期決算企業の株主総会が終わり、2017年度も第2四半期入りである。起債市場の動きは、当然、復活する。四半期頭の定例といえば、電力・銀行・財投機関といったところであるが、今年の7月はメーカーと総合商社から動きはじめた(7月5日、水曜)のが面白い。その後、中国電力が6日に電力債を募集し、7日には日本政策投資銀行が財投機関債を募集している。残念ながら、銀行はまだ動いていないが、翌週にもメガバンクグループの持株会社が劣後債を募集するという観測が上がっている。もちろんノンバンクの一角である三菱UFJリースも社債を二本立てで募集しているし、5年債を募集したNECキャピタルソリューションもメーカーの金融子会社である。

最近の起債市場では、こうした四半期の定例以外に、鉄道会社の起債が目立つ。7日は小田急電鉄が個人投資家向けの3年債を条件決定しているが、それ以外に、JR東日本が3本立ての社債を募集している。同社は、今年の1月に社債を募集した祭には、10年債100億円・20年債100億円・30年債100億円・40年債200億円と四本立てで計500億円を募集したが、今回は10年債150億円・20年債100億円・30年債250億円の三本立てで計500億円の募集となっている。1月募集時の対国債スプレッドは、10年債で+15bpsと公表されているが、今回の10年債は同対比+17.5bpsと拡大している。10年債のクーポンは1月債の0.2%に対し、今月は0.28%と長期金利の上昇を反映したものとなっている。

同様に、20年債のクーポンは1月債の0.675%に対し、7月債は0.713%と上昇しているし、30年債も1月債のクーポン1.119%に対し、1.133%となっている。足元で日銀が5年~10年債の区分で指値オペを実施したことで表れているように、10年金利の水準が日銀のコントロールする0%程度から10bps以上も逸脱する状況となっている。米国の景気回復と短期金利目標の引上げの影響などから、日本でも長期から超長期の金利水準が上昇傾向にある。世界的な金利上昇傾向とはやす向きもあるが、日米の経済情勢の相違を考えると、容易に日本の金利が上昇するとは思えない。そういう観点からは、金利が少しでも上昇している局面で、社債を購入するのは投資妙味があろう。特に、30年債のクーポンが1%を越えているのは、絶対金利水準を確保する意味でも強い需要が集まることになる。実際に、今回の起債に際しても、30年債が速く売れたのに対し、10年債及び20年債は消化に時間を要したと言われている。

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