国内起債市場を斬る 起債評価:7/10~7/14

7月の起債ラッシュである。週前半にエネルギーを蓄えて、後半に一気に爆発した。火曜日に3発行体7本、水曜日に5発行体10本と増えて行き、木曜日に1銘柄のみと小休止し、最後の金曜日に12発行体21本と火柱が立ったのである。しかも、金曜日には、みずほフィナンシャルグループの永久劣後債計4,600億円が募集されており、金額の面でも圧倒的に金曜日が大きくなっている。

これだけ多くの銘柄が募集されると、年限の観点からも、利回りの観点からも、様々な選択肢が存在することになる。仮に募集が同日であったと仮定して並べてみると、まず年限という意味では、東日本高速道路の2年債が一番短い。日銀オペの買い入れ水準変化から投資家のニーズが低迷しはじめているものの、3年債は日産フィナンシャルサービス、リコーリースとノンバンクによる募集が多い。超長期年限では、川崎重工業・地方公共団体金融機構・住宅金融支援機構・電源開発・北陸電力の20年債、京阪神ビルディングの15年債がある。なお、みずほフィナンシャルグループの永久劣後債は、4回債が5年経過以降、5回債が10年経過以降に任意償還が可能になっているので、前例を考えると、5年債及び10年債と考えるのが普通だろう。

利回りの観点では、一番低水準なのが、東日本高速道路(NEXCO東日本)2年債の0.01%であるが、わずかな差である0.03%クーポンで募集された銘柄に、住宅金融支援機構の5年債、日産フィナンシャルサービスの3年債、トヨタファイナンスの4年債がある。逆に高利回りな銘柄としては、みずほフィナンシャルグループの永久劣後債は劣後プレミアムが乗ったこともあって、1.22%クーポンともっとも高い。それ以外に1%クーポンを越える銘柄はなかったが、0.8~0.9%の範囲に、川崎重工業・電源開発・北陸電力の20年債、オリエントコーポレーションの10年債がある。

投資家としては、より取り見取りの起債ラッシュであるが、需要の集まる銘柄は瞬間蒸発というか、事前の段階で予約が超過となっている。一方で、このように募集が集中する環境では、発行条件が割高と思われたり年限が不適切に長いといった評価を受けたりする案件は、消化に苦労することになる。全般的に3年債や5年債の消化状況がよくない傾向にある。一方で、超長期の募集案件は、利回りの絶対水準を確保できていることもあって、順調に消化できているものが多い。

7月の起債ラッシュは、14日の金曜日がピークになると思われる。例年も、概ねこの週あたりが一つの山場である。海の日の三連休を越えると、次第に街は夏休みモードとなる。今年は、日銀の金融政策決定会合を超えると、市場も次第に夏休みに入って行くのだろう。

コメントは受け付けていません。