国内起債市場を斬る 起債評価:7/24~7/28

この週も、起債のペースは鈍い。結局、7月の起債ラッシュは、14日の金曜日をピークに終わったのである。しかも、その日に大量の起債が集中したために、その後、引受証券も投資家も疲弊してしまったようである。当面、日銀の金融政策が変更される可能性は小さいために、金利先高感も見られず、各社資本市場部、デッドシンジケーション担当者はこのまま夏休みに突入という筋書きのようだ。株や為替も値動きの小さい状況が続いており、今のうちにオリジネーションの担当者は夏季休暇を取得する者が多いのではなかろうか。

全般的に社債の売行きが思わしくないというのが、14日のピークを越えてからの実感だろうか。この週で相対的に順調に消化されたのは、清水建設の7年債くらいなもので、後の東急不動産ホールディングスの10年債、JXTGホールディングスの5年債及び10年債、Jフロントリテイリングの5年債及び10年債は、やや苦戦した感じである。いずれの社債発行体も純然たるメーカー以外の業種であることも、販売不振となった一つの要因かもしれない。全体的には、10年債の不調が顕著である。募集金額はいずれも100億円で重荷になるロットではないのだが、個々に見るとスプレッドが不十分であるといった評価が売行きに繋がっている。

しかし、根元にあるのは、10年債の利回り水準に対する不信感ではなかろうか。日本銀行による長短金利操作付き量的質的金融緩和によって、10年金利は0%程度にコントロールされることとなっている。実際に、0.1%を越えるような局面になると、指値オペが実施されている。そうであるならば、海外金利の上昇を受けて10年国債利回りが0.1%に近付くような状態で購入すれば、その後の金利低下がメリットになる。慌てて社債を購入しなくてよい投資家ならば、投資タイミングを計るのである。何しろ利回り水準が小さく、スプレッドも薄いために、ほんのわずかな差が運用の巧拙に繋がってしまう。投資家は慎重な姿勢を崩さない。

8月の旧盆前は、例年でも起債の数は少ないが、今年は更に少なくなりそうである。これまでに上がっている起債観測や財務局への登録状況を見ても、事業会社のハイブリッド債で募集が予定されている他、事業債が1つあるくらいで、財投機関債も1発行体の予定が見られる程度である。急に動く案件があるとしても、発行体の数は少ない結果になるだろう。それ以外に、地方債で毎月のように10本以上の募集予定があるようだが、民間企業による起債は寂しい展開になりそうだ。

甲子園の組み合わせ抽選会は8月4日(金)の16時、第一試合は7日(月)10時半である。盛夏の相場は、毎年この間は静観を繰り返す。

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