国内起債市場を斬る 起債評価:12/11~12/15

いよいよ年内の起債も最後ということもあってか、8日の金曜日は盛り上がったが、10日を過ぎると、残り火のような起債市場である。ちなみに、2016年の同時期を振り返ってみると、この頃に出て来たのは、日立キャピタル、北越紀州製紙、日本航空、資生堂、MS&ADインシュアランスホールディングスの劣後債である。ノンバンクである日立キャピタルを除くと、やや癖のある銘柄が目立った。破綻から復活した日本航空、相変わらず国内系格付会社の格付けを取得しない資生堂と変化球に属する顔触れであった。ところが、今年の最後を飾ったのは、ノンバンクは同様に何処にでも出てくるが、銀行社債と不動産が目立ったのである。

2016年の同時期は保険持株会社の劣後債が募集されていたが、今年募集されたのは銀行持ち株会社の永久劣後債であった。MS&ADの劣後債は60年物であったが、三井住友フィナンシャルグループが募集したのは永久劣後債である。両社の共通点としては、募集金額の大きさだろう。MS&ADは二つの回号に分けて1,000億円の募集であったが、三井住友フィナンシャルグループは1,500億円1本であった。当初10年が1.29%クーポンで、その後はLibor連動の変動利付債になる。期限前償還条項付きである。劣後プレミアムの高さもあり、10年償還を前提に考えると、1.29%のクーポンを魅力と考える投資家は少なくないだろう。

もう一つの銀行社債は、りそなホールディングスの普通社債であった。3年債100億円と5年債200億円が募集されている。5年債は当初予定の100億円から大きく増額されており、強いニーズがあった模様である。頻繁に起債する発行体ではないために、希少性が評価されている。なお、12月初めに同様にあおぞら銀行が3年債と5年債の組み合わせで起債しており、格付けがあおぞら銀行のA-(R&I)格に対し、りそなホールディングスはA(R&I)格と1ノッチ高く、両年限ともわずかにりそなホールディングス債の利回りが低い水準での募集となっている。

なお、この週に募集された最高利回りは、三菱地所の40年債の1.402%であった。利回りの絶対水準を欲しがる投資家には魅力的であるが、40年後の三菱地所が企業としてどうなっているかを想像するのは決して容易でない。150億円に増額されたところを見ると、投資家の受けも悪くなかったようだが。

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