国内起債市場を斬る 起債評価:1/29~2/2

12月四半期末決算の発表シーズン迎え、起債は細々である。それでも、2月に入ると動きが多少増えて来た。折しも、米国株式の暴落、乱高下で、決算を控えた国内投資家も揺れている。年度末まで2ヶ月を切ったことで、発行体も投資家も当初計画の遂行を意識する時間帯である。特に、公共セクターは予算消化に血道(ちみち)を挙げることが想定される。四半期ごとの調達計画を策定していたならば、3月中旬までの募集可能期間に動かなければならない。今の時間帯は、年度末までの募集に向けた最後の準備期間である。

10年長期国債の入札が行われ、米債の金利上昇を受けて日本の中期国債利回りも上昇する中で、日銀による7ヶ月ぶりの指値オペ実施という相対的に不安定な相場付きであったが、わずかながらも債券の募集が行われている。1月末に社債を募集したのが、THKである。同社は機会部品メーカーであり、最終消費者には馴染みが薄い。今回募集されたのは、第11回5年債と第12回7年債の各100億円であった。希少性のあるメーカーの社債ということで、順調に消化されたようである。他に起債がないという状況は、売行きに間違いなく貢献するはずである。

カレンダーが2月に替わると、阪神高速道路と首都高速道路の二大都市圏の高速道路運営会社が社債を募集している。前者は3年債100億円で、後者は5年債400億円である。いずれの債券も日本高速道路保有・債務返済機構の重畳的債務引受条項が付されており、予定通りに債務負担が移行するならば、日本国債と同程度の信用力が期待できるものである。ただし、格付けに関しては、複数格付を取得している場合の意識からJCRのAAA格を取得した首都高速道路と、R&IのAA+格のみを取得している阪神高速道路で対応が異なるのである。

2月に入って社債を募集したのは、三井住友ファイナンス&リースである。10年債100億円を募集している。業種特性を考えると、やや年限としては長いのであるが、国債対比+35bpsのスプレッドで問題なく消化されたようである。これも起債閑散のためなのか、三井住友フィナンシャルグループのサポートを期待したものなのか。

2月の起債は財投機関債などの公共セクターがまず動き、その後から、民間お社債が追随する展開になりそうだ。日米の株式市場の波乱を受け、日米の金利水準も安定しない可能性がある。タイミングによっては、高めの利回りが得られる状況があるのかもしれない。

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