国内起債市場を斬る 起債評価:7/23~7/27

本州以西の酷暑、西に向かう台風など、気象状況は例年と大きく異なるが、起債市場はあまり例年と変わるものがない。日銀の金融緩和見直しが意識されるために、10年国債利回りが不安定化し、日銀が指値オペで封じ込める展開であるが、一般債の募集には直接の影響が見られない。スプレッドプライシングのベースとなる利回りが上昇することで、起債コストは上昇したが、スプレッドの拡大ではないために、発行体の責任とはされないからである。あくまでも「市場の変動」によるためである。日本企業で一般的な、責任を問われないことが重要なのである。

起債市場の顔触れは、ノンバンクと財投機関債などの公的セクターである。後者は格付けが日本国債と同水準の物ばかりであり、消化に対する不安は小さい。特に、年限が短い場合には、国債を購入してもマイナス利回りしか得られないのに、高格付け債でもプラスもしくは出来上がりでゼロ%の債券となっているから、投資家は購入し易い。日本政策金融公庫の財投機関債は、2年債も3年債もクーポンは同じ0.001%である。発行単価が100.002円か100.001円かの違いである。もちろん資金使途が、2年債は国民一般向けであるのに対し、3年債は農林水産業者向けであるという違いはある。しかし、公庫の中で部門が異なるとは言っても、外部の債権者には対抗できない。対抗できるならば、財投改革は単なる数合わせによる特殊法人の統合でしかなくなってしまう。

ノンバンクの起債は、昭和リース5年債と三井住友ファイナンス&リースの4年債及び10年債である。前者は協和銀行傘下で設立され、現在は新生銀行グループに属す。後者は、沿革としては住友商事や住友銀行系のリース会社がスタートであるが、途中でさくら銀行系のリース会社も統合しており、こちらは三井住友銀行系と理解される。つまり、両社とも、銀行系リース会社である。事業環境や今後の日本経済の成長性を考えると、なかなか長期の与信は容易でないが、いざと言うときには銀行の支援が期待できることで、信用力の下支えを期待することができる。昭和リースの5年債のクーポンは0.25%であり、一方、前述の日本政策金融公庫の10年債は0.255%クーポンとほぼ同じ水準、後者の三井住友ファイナンス&リースの4年債は0.110%、10年債は0.410クーポンである。どちらがより魅力的な投資対象であろうか。

いよいよ今週は8月に入り、全ての小中学校も概ね夏休み、第100回全国高校野球選手権記念大会の代表校も出揃い、2日抽選、5日開幕となる。起債市場もほぼ案件が出尽くしており、そのまま旧盆の休みに突入するというのが例年のスケジュールである。

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