国内起債市場を斬る 起債評価:11/26~11/30

11月末に向けて週後半に起債ラッシュが見られた。ノンバンクや電力、鉄道の起債が多く見られるのは通例だが、メーカーによる起債も少なからず見られる。29日の木曜日に募集されたのが旭化成と富士フィルムホールディングス、30日の月末金曜日にはキリンホールディングス、グローリー、日立金属といった顔触れが社債を募集している。

起債の内訳を見ると、旭化成は5年債200億円、キリンホールディングスは5年債200億円(9月に募集を延期したもの)と単年度の募集であったが、富士フィルムホールディングスは3年債250億円・5年債350億円・7年債250億円の3本計850億円を募集している。グローリーは5年債と10年債各100億円を募集し、日立金属の起債は5年債150億円・7年債150億円・10年債100億円の3本計400億円であった。メーカーの場合は、社債を募集しても長くて10年というところである。

この週の起債のもう一つの特徴としては、AAゾーンの高格付け起債とBBBゾーンの起債とが、両方とも見られたことだろう。AAゾーンとAゾーンの混在は決して珍しくないが、BBBゾーンの起債は元々多くない。この週に見られた「片脚BBB」ゾーンに突っ込んでいた起債は、NECキャピタルソリューションの5年債100億円、SBIホールディングスの3年債・5年債各150億円、イチネンホールディングス(1930年6月、石炭販売業で創業した旧黒田重太郎商店)の5年債50億円、富士急行の10年債50億円といったものである。富士急行は鉄道業者であり、国土交通省の認可を得て運賃設定をしていることもあって、BBBゾーンと言っても、格付けの安定性や下方硬直性が高いと考えられる。しかも、富士急行とイチネンホールディングスの起債はいずれも50億円という小額である。最低投資単位が1億円となる日本の多くの社債では、50億円はほぼ最低募集金額と考えて良いだろう。

年内の起債ラッシュは、まだ終わらない。今年のカレンダーでは12月10日にはじまる週までは、募集が行われると考えられる。前年の最終募集日は12月15日であり、今年の応答する金曜日は12月14日である。起債観測の上がっている顔触れは、12月3日からはじまる週の募集予定がハイブリッド債を含めて大きな金額になっているが、それ以外にも、二週にわたって、電力・ガスといった公益セクターから、金融、メーカー、不動産、運輸、サービス等様々な業態が社債を募集する予定のようだ。

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