国内起債市場を斬る 起債評価:1/28~2/1

起債市場は閑散期に入った。この週も、月末を挟む週というタイミングであり、国内公募社債等で募集されたのは、地方公共団体金融機構のFLIPに基づく起債と、社債が1社2回号のみであった。地方公共団体金融機構の起債は、定例年限の起債以外に、フレックス枠があり、更に、FLIPに基づく起債がある。フレックス枠が比較的まとまった金額の起債を、主幹事方式で行うのに対し、FLIPは予め指定されている証券会社が30億円以上の販売目処を持って、発行体と折衝して引受けるものである。定例の募集年限と重ならない年限で発行されることが多く、9年債など普通の公募普通社債等では見られない年限も少なくない。主に四半期の最初の月に募集されることが多く、そういう意味では1月の月例債が募集された後のタイミングで、23日に第453回9年債200億円と29日に第454回35年債50億円を募集している。FLIPの起債で200億円というのは、年間でもあまり多くない。なお、来年度はフレックス枠もFLIPも増額される方針である。

メーカーで公募社債を募集したのは、機械メーカーのTHKである。今回募集したのは、5年債と7年債各100億円である。海外で事業展開を行う連結子会社と決算期を合わせるために、2017年より3月期決算から12月期決算へと変更している。それが結果的に、このタイミングでの起債を可能にしたとも言える。同社が2月14日に公表するのは、12月期決算に移行して初めての年間決算である。今回の起債が第13回債と第14回債であるから、決してフリークエントイシュアーではない。今回がほぼ1年ぶりの社債募集である。格付けは、R&IとJCRの2社からA+格を取得している。

THKは1971年に目黒の不動前の近くで、寺町博氏が東邦精工株式会社を設立創業。工作機械部品、リンクボール、LMローラー、LMボールの販売を開始した、歴史の新しい会社で、1984年に現在のTHKという社名に変更している。比較的社名の変更タイミングは古いが、最近のアルファベット3文字の社名変更は、和製英語との狭間でいささか違和感を感じる。THKの場合も、旧社名の英文名称を略した形のようだが、最近のTVCMで盛んに流しているように、旭硝子は同様にAGCへ社名変更をしている。名は体を表すと言うように、社名が何を行う企業かがわかる方が望ましいのか、本業以外の新分野を開拓しようとするIR戦略の一環なのか、経営者の真意は様々のようだ。もっとも買収や統合の結果で、何の会社かわからなくなっているJXTGホールディングスという社名も、Wリーグ(女子バスケット)のチーム名によって「ENEOSの会社なんだ」と世の中に浸透している気がする。NY取引所のティッカーを決めるわけではないので、社名変更の場合はもっと強い「ブランド力」を意識した新会社名にしていくべきだろう。

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