国内起債市場を斬る 起債評価:2/25~3/1

いよいよ年度末も近い。金曜日が3月1日なので、週央よりも、月が変わってからの方が動きは多い。ボーナスシーズンでもないのにクレディセゾンやオリックスといったノンバンクによる個人投資家向け起債の条件決定がなされた事に違和感を覚える。しかし、低金利が続く中で個人投資家の社債購入意欲は小さくないはず、ということで発行体も証券会社も狙ったのであろう。もっとも、クレディセゾンは、みずほフィナンシャルグループと距離を置く趣旨の報道が見られており、個人投資家向けでも10年債というのは、同社の今後のビジネス展開を考えると、慎重に取組むべきだろう。

それ以外の機関投資家向けの起債は、多彩であった。しかも、必ずしもフリークエントイシュアーではない発行体が多く、レア物起債が目立つ展開となった。住友林業は、事業ウェイトとしては住宅関連が大きいとは言え、林業を冠するメーカーである。5年債と10年債を募集し、今回は第7回債と第8回債である。オリンパスの5年債は第23回債と回号は小さくないが、2011年には粉飾決算で上場廃止の危機に瀕し、2017年には起債市場に復帰したものの、昨年11月の起債準備時にも内部告発を受けた株価急落から募集を見送った発行体である。投資家の発行体に対する不信は小さくない。

自動車部品メーカーのフタバ産業は、5年債と10年債を募集しており、第2回債と第3回債である。また、JR九州が10年債と30年債を募集しているが、第1回債と第2回債であり、初の公募社債募集である。同様に、大塚ホールディングスは、5年債・7年債・10年債の3本立てを募集しており、これらが第1回債~第3回債である。そういう意味では、デビュー銘柄の多い起債市場であったと言えよう。

また、この2月1日にドンキホーテホールディングスからパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスに社名変更したため、同社の3年債・7年債・10年債の3本立ての起債は第15回債~第17回債と回号は多いものの、レア感が強い。社名変更については、2月4日の弊稿でも触れたが、環太平洋を征するという経営戦略は感じるものの、競泳の国際大会を連想させる「パンパシ」で、投資家へのブランド戦略は成功するのであろうか。

その他にも、豊田通商や、あおぞら銀行、京成電鉄といった起債頻度の多い銘柄も社債を募集している。年度内の募集に適した期間も、概ねあと2週間程度である。既に、鉄道や不動産といった銘柄の起債観測が上がっており、ハイブリッド債の募集予定も公表されている。この金利先高感が皆無の環境下で、やや盛り上がりに欠ける展開になるかもしれないが、2018年度の起債市場は、いよいよラストスパートである。

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