国内起債市場を斬る 起債評価:4/1~4/5

2019年度の起債シーズンは、10年長期国債入札とともにはじまった。しかも、週初めに新しい元号の発表があり、いよいよ新時代への胎動もはじまっている。年度の初めに動き出すのは、公共セクターと電力、ノンバンクというのが、定番である。この週も、東北電力、電源開発、関西電力、中国電力と電力が続き、日本政策投資銀行と住宅金融支援機構の財投機関債が募集している。

この二つの財投機関債は、年度の初めから複数本立ての大型起債となった。日本政策投資銀行は、3年債200億円、5年債250億円、10年債350億円、20年債100億円、40年債350億円と5年限で計1,250億円の募集である。それに比べると、住宅金融支援機構の5年債350億円、10年債100億円、20年債250億円と3年限で計700億円は小さく見えてしまう。しかし、金利低下の影響を強く受けたことで、10年債のクーポンはいずれも0.135%でしかない。40年債ですら0.81%クーポンと1%に満たないのであるから、投資家の購入意欲も高まり難い。

ノンバンクでは、トヨタファイナンスが3年債300億円と5年債600億円の計900億円、三菱UFJリースが5年債200億円と10年債100億円の計300億円、クレディセゾンが20年債120億円、オリエントコーポレーションが5年債50億円と7年債150億円の計200億円、三井住友ファイナンス&リースが5年債200億円と10年債100億円の計300億円が募集されている。ノンバンク全体では、総計1,820億円の募集である。ノンバンクの事業特性を考えると、クレディセゾンの20年債はやや年限が長過ぎるだろう。特に、個社事情としては、みずほフィナンシャルグループとの包括的業務提携関係を解消することで合意しており、今後UCカードの分離が予定されている。クーポンは1%と高水準であるが、A+(R&I)という格付けだけで投資評価を行うべきではないだろう。

多く見られたノンバンクの起債のうち、トヨタファイナンスの5年債とオリエントコーポレーションの5年債は、いずれもグリーンボンドの認定を得ている。奇しくも両案件とも今年の1月に起債環境の変化から募集を一旦見送っていたもので、その後の株価の回復や金利水準の低下を受けて、年度初めの再チャレンジとなっている。ノンバンクの発行するグリーンボンドというのは、「金に色はない」という前提に立ち返り、日本の社債は基本的に発行体の全財産に対する請求権であることを考えると、何度も述べるように単なる名分にしか過ぎないのであり、投資家は決して割高に買ってはならないのである。

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