国内起債市場を斬る 起債評価:9/9~9/13

上半期の起債もそろそろ終了となる。敬老の日(16日)による三連休明けの週もギリギリ募集できないわけではなく、実際の起債観測も上がっているが、多くの案件は9日の週までに終わる。特に、三連休明けだと17日(火)が営業日でないために、翌週も18日が募集可能な営業日であるため、20日(金)が迫るタイミングになっており、多くの起債募集が動ける状況ではない。

9日の週は多くの案件が動いた。その前の週がソフトバンクグループの計5,000億円や日本製鉄の計3,300億円、三菱UFJフィナンシャルグループの計2,000億円といった大型起債が目立ったために、比べると金額では小ぶりに見えるが、本数は2日の週の計34本に対して、9日の週も計31本と遜色はない。もっとも、大型起債は、コカコーラボトラーズジャパンホールディングスの三本立て計1,500億円くらいなものである。

引き続き、超長期債の募集は、地方公共団体金融機構の20年債、住宅金融支援機構の15年債、東急の20年債及び30年債、中国電力の30年債と行われているが、国債対比でプライシングされたのは中国電力の30年債くらいなもので、絶対値ベースでのプライシングが続いている。特に、発行体の属性からも国債対比でのプライシングが最適と考えられる公共機関による起債が、国債対比で行われなくなっていることには留意しておきたい。マイナス金利となっている年限ならともかく、それ以外の年限での安易な絶対値プライシングは、発行体のためにも、投資家のためにもならないだろう。

投資家が低金利環境下で利回りを稼ぐには、年限を伸ばすか、信用力の劣る銘柄に手を出すかという判断になる。この両方を選択することも可能であるが、低格付け銘柄に対する超長期の与信は敬遠されるだろう。そこで、比較的に低格付けの社債も複数みられる。年限としては、一般的に3年債や5年債といったあたりが、適切だろうか。もちろん個別の発行体、業種によって適切な年限は異なる。A格ゾーンの下やBBB格ゾーンの起債としては、横浜冷凍の7年債100億円、イオンフィナンシャルサービスの3.5年債・5年債・7年債計700億円、DMG森精機の3年債100億円、西松建設の5年債200億円、大建工業の3年債及び5年債計100億円といったところが見られる。なお、近鉄エクスプレスはBBB+(R&I)格でありながら、10年債を募集している。それでも、クーポンは0.45%と低いのだから、投資家の食指は限定的である。

このような起債環境下で、グリーンボンドやソーシャルボンドを標榜する起債も、住友倉庫の5年債や大建工業の3年債等が見られる。その前の週も、カネカの5年債や三井不動産の5年債といったところが、グリーンボンド等となっている。投資家に買ってもらうための工夫とアイデアのようだ。

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