国内起債市場を斬る 起債評価:10/14~10/18

10月の起債の動きは、すぐに峠を越える。この週も、条件決定・募集された本数は多いが、業種の広がりはあまり感じられない。公共セクターで、地方公共団体金融機構がFLIPに基づく債券を計12本も募集しており、日本政策投資銀行や日本高速道路保有・債務返済機構、日本学生支援機構といった財投機関債も募集が行われている。日本学生支援機構の2年債は、オーバーパーで単利の利回りは0%であった。その他に、メーカーの起債では、DIC、ニプロ、三和ホールディングスといった顔触れが、いずれも10年債を募集している。R&IでBBB+格のニプロでさえ、クーポンが0.44%といった低水準なのであるから、A格前後の発行体にとっては十分に魅力的な金利水準であろう。

この週の起債で圧倒的な存在感を示したのが、ノンバンクである。しかも、芙蓉総合リースや日立キャピタル、クレディセゾンといった上場ノンバンクよりも、非上場ノンバンクが目立っていた。芙蓉総合リースとクレディセゾンは、1回号のみを条件決定したのに対し、日立キャピタル(2016年に三菱UFJフィナンシャル・グループ及び三菱UFJリースと資本・業務提携契約を締結)は3年債・5年債・10年債の3回号計600億円を募集している。非上場ノンバンクでは、住友三井オートサービスが3年債及び5年債計300億円、三井住友トラストパナソニックファイナンスは3年債・5年債・10年債の計300億円を募集している。

前者は、住友商事系の住商オートリースと、三井銀行系の三井住友銀オートリースが合併して出来た会社で、三井住友系では珍しく”住友三井”という順の社名である(ちなみに、和名が三井住友の順になっている企業の多くは、英文名称ではSumitomo Mitsuiの順となっている。例外として、少なくとも三井住友海上火災保険の英文名称はMitsui Sumitomo Insurance Companyであり、同社のグループ会社の英文名称はMitsui Sumitomo となっているようである)。

後者は、三井住友銀行系ではなく、トラストの文字が入っていることでわかるように、住友信託銀行の傘下にあった住信リースと、松下電器が設立したリース・クレジット会社に住友信託銀行が出資した住信・松下フィナンシャルサービスが合併し、後に信託銀行の合併によって、三井住友トラストパナソニックファイナンスという長い名前になったものである。なお、三井住友トラストホールディングスの英文名称は、Sumitomo Mitsui Trust Holdingsと商業銀行と同じ並びになっている。

非上場であっても、前者は上場している銀行持株会社の持分法適用関連会社であり、後者は連結子会社とされている。いずれのノンバンクも有価証券報告書を提出して社債の発行登録制度を利用しているため、投資家は上場の有無を大きくは気にしないで済む。そういう意味では、上場銀行持株会社の傘下にある銀行子会社と、大きく異なるものではないということなのである。とは言え、持株会社の財務内容に与える影響の程度は、銀行子会社とは異なるということを、忘れてはならない。

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