国内起債市場を斬る 起債評価:5/10~5/14

GWを終えて3月期決算企業の決算発表も峠を越えると、徐々に起債に向けた動きが増えて来る。一般的に動きが早いのは、電力・ノンバンク・財投機関というイメージであるが、この週はノンバンクがまだ動かず、電力と財投機関の動きが先行したようである。社債等の多くが14日の金曜日に募集されたためか、起債観測の上がっているノンバンクもあるが、募集は翌週以降に持ち越したようである。

電力関連で動いたのは二社で、電源開発が10年債300億円と20年債100億円を募集し、北海道電力が3年債200億円と10年債100億円を募集している。格付けを見ると、R&Iの評価は電源開発がA+格で、北海道電力がA格と1ノッチの差があるものの、北海道電力債には一般担保条項が付されており、顕著な信用力の差を意識しない投資家は少なくないだろう。電源開発債には社債管理者が付されているが、センサー機能を持った特約や一般担保条項が付されていないため、受託銀行が社債管理手数料を懐に入れるだけとなっている。同じ日に募集した10年債は、電源開発債が0.31%クーポンで北海道電力債が0.33%クーポンとわずかな差である。もっとも北海道電力が同時に募集した3年債のクーポンは0.001%クーポンと最低水準に設定されており、パー発行なので多くのノンバンク等の社債より投資妙味を感じた投資家もあるだろう。

財投機関等では、新関西国際空港が5年債と10年債を各100億円募集している他、西日本高速道路が5年債を800億円、地方公共団体金融機構が10年債を350億円、住宅金融支援機構が5年債400億円・15年債200億円・20年債100億円・30年債300億円の計1,000億円を募集している。地方公共団体金融機構の債券募集が10年債のみというのは、珍しいかもしれない。また、住宅金融支援機構も10年債を外して、5年債・15年債・20年債・30年債という刻みも過去多かったようには記憶していない。この4本立ての中では、15年債と20年債とがグリーンボンドとしての認定を得ている。

グリーンボンドという意味では、安川電機が5年債100億円をグリーンボンドとして募集している。安川テクノロジーセンターの建設資金に充てる予定であり、効果としては、「高環境効率商品、環境適応商品、環境に配慮した生産技術およびプロセス」の他に、「エネルギー効率」を掲げている。グリーンボンドの認定に際しては、セカンドパーティーオピニオンをR&Iから取得しており、調達した資金の適正な利用に対するモニタリングが期待される。

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