国内起債市場を斬る 起債評価:6/17~6/21

引続きこの週も、株主総会シーズンのため、社債等を募集する動きは少ない。3月期以外の決算期を採用している企業や公的セクターが起債するには絶好の機会と考えられるが、例年、それさえ動きは多くない。背景は、引受証券も投資家も動きが鈍くなっているからなのかもしれない。起債観測は色々と上がって来ており、7月に入ったら起債ラッシュになるという期待感はあるが、金融緩和政策の見直しが行われる可能性のある日銀の金融政策決定会合は7月の終わりまで待たざるを得ない。金利の先高感が強くなるようであれば、投資家の購入意欲は顕在化しないのは当然だろう。しかし、日銀の先行きに対する姿勢を慎重なものと考えるならば、今年度第2四半期がはじまる7月の起債に向けた動きは多くなるかもしれない。

この週の社債等の募集は限定的な中でも幾つか見られた。まず、公共セクターの発行体の一つは地方公共団体金融機構であり、FLIPに基づいた債券を5年債40億円・9年債30億円・27年債50億円の計120億円を募集している。地方公共団体金融機構は、毎月10年債を募集する他、5年債・20年債・30年債を年に数回程度募集している。今月は既に5年のグリーンボンドと10年債・20年債を募集しており、FLIPの120億円は年限もバラバラで具体的に投資家の購入希望と紐付けされたものと考えられる。FLIPに基づく起債は公募に分類されるのであるが、金額も小さく実質的には私募に近いものである。

もう一つの公共セクターによる債券募集は、国際協力機構の5年サステナビリティボンド200億円であった。今回は機関投資家向けの募集で、奇をてらった個人投資家向けの募集ではない。同日に募集された地方公共団体金融機構の5年FLIP債ノクーポンが0.573%で、この国際協力機構の5年サステナビリティボンドが0.58%クーポンである。一般的な投資家は前者を地方債に含めて管理し、後者を財投機関債に分類して考えるため、ほぼ同等の利回りという認識で良いだろう。投資家によってリスクウェイトが異なったり、また、SDGs債に対する需要の強弱が異なることもあって、微妙な差が生じるものと考えられる。

唯一民間企業で社債が募集されたのは、IDOM(「ガリバー」の名称で中古車販売のリーディングカンパニー、東証プライム:7599。)による3年債30億円である、今回が初めての公募普通社債の募集であり、取得した格付けはJCRのBBB+格でクーポンは1.8%と極めて高い水準である。同社は2月決算を採用しており、3月決算企業とは異なるサイクルで動くことが可能である。しかも、2016年に改称したIDOMは企業の名称として知名度が低いものの、「ガリバー」のブランドは広く知られている。ここ数年の中古車販売事業に関連して報じられた問題は必ずしも個社の問題に限られたものではなく、業界の構造的な課題と考えられる要素もあるし、かつてのような短期間での新車買換えサイクルは見られなくなっている。そのため、格付符号のみを見て投資するのは極めて危険な対象であるが、逆に、十分な業界及び個社の分析を行い3年の与信を問題ないと判断した上で購入すれば、20年国債を購入するのと同程度の利回りを3年間享受できるのである。

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