国内起債市場を斬る 起債評価:6/24~6/28

3月期決算企業の株主総会は最終週で追い込みのシーズンであるが、結果としては、バラエティに富んだ起債が見られる週になった。まず、東海カーボンは5年後以降に期限前償還できる期限付き劣後債であり、当初5年のクーポンは2.118%と大台を超えている。R&Iの格付評価はBBB+格と片足を突っ込んだ形になっているところが味噌だろう。250億円とまとまった金額が募集されている。次に、すかいらーくホールディングスが5年物の第1回債を募集している。古くから社債市場を見て来た人間は、同社の前身であるすかいらーくがMBOに際し既発の公募普通社債を買入償却したことを記憶しているだろう。よって、第1回債であるが、筆者には初回債という感じがしない。非上場化した企業が後に再度上場することは稀な日本の資本市場において、公募社債の再登場というのは、日本航空などの例もあるが珍しく、背景に色々な歴史のあったことが思い出されるのである。

小売のイオンは5年債と10年債のサステナビリティリンクボンドで計500億円を募集している。2月決算を採用する小売業らしい社債の募集タイミングであり、他の社債とほぼ競合しないことは大きな強みである。格付けはR&IのA-格であり、10年債のクーポンは1.992%とわずかに2%を下回っている。その他に、オープンハウスグループは第2回の3年債120億円を募集しており、マクロミルは3年債85億円と5年債11億円の2本立てソーシャルボンドを募集している。これら2社の格付けは、R&IのBBB格とBBB+格であり、低格付け社債の募集が増加しているのであれば、今後の起債市場の拡大も期待できるだろう。

日本国内の起債市場が株主総会シーズンで募集が乏しくなっている間に、優良企業によるユーロ市場やグローバル市場での外貨建て社債の募集が多く確認されている。ドル債を募集した顔触れを見ると、海外系格付会社によるAゾーンの格付けでは、NTTファイナンス計23.5億ドル、住友商事計10億ドル、三菱商事5億ドル、みずほフィナンシャルグループ計15億ドルといった銘柄が確認されている。BBBゾーンでは、野村ホールディングス計20億ドル、武田薬品計30億ドルといった募集が見られる。ここまでで、募集された総額は100億ドルを越えている。

これに加わるのが、S&PのBB+格といわゆる投機的格付けで米ドル建て9億ドルとユーロ建て9億ドルを募集したソフトバンクグループである。BBB格に満たなくても、十分なスプレッドが付されていれば投資家が存在するのが、海外の市場である。5年物の米ドル債は米国国債対比+245bpsのスプレッドで募集されており、4.5年物のユーロ債もスワップ+246bpsのスプレッドとタイトな条件になっている。コストさえ払えば、巨額の資金調達が可能であることは、発行体にとって海外市場での調達を選択する一つの判断材料になっているものと考えられる。日本の社債発行市場が低格付け社債を含めて、より活性化することを期待したい。

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