国内起債市場を斬る 起債評価:10/10~10/14

漸く起債市場が動きをとり戻して来た。まずは、前週の後半に続いて、公共セクターが起債を積極的に行っている。地方公共団体金融機構が、前週の20年債・30年債に続いて、5年債150億円及び10年債200億円を募集している。その他に、財投機関債としては、日本政策投資銀行が3年債・5年債・10年債各200億円、住宅金融支援機構が10年債400億円と20年債100億円を募集している。これらが同日に募集されたこともあって、5年債が0.001%クーポン、10年債が0.075%クーポンで揃っている。なお、日本政策投資銀行の3年債も0.001%クーポンで5年債と同じになっているが、発行単価が100円1厘でオーバーパーとなっている。

前週に続いてという意味では、前週の阪神・首都に続いて、西日本高速道路が13日に10年債400億円を募集している。格付けはAA+(R&I)・AAA(JCR)・A1(ムーディーズ)と日本国債と同等の水準にありながら、クーポンは0.2%(国債比+26bp)となっている。前日に募集された公共セクターの10年債に比べると、倍以上の利回り水準である。株式会社形態を採っており、財政投融資計画に基づかない社債であるといったことが、利回り差の説明になると思われるが、翌日に募集された東北電力(A/AA-)の10年債0.29%の方にクーポン水準が近い。

同様に、前週に続いて登場しているのが、電力債等である。前週は中部電力が6年債と2年債を募集していたが、この週は前述のように東北電力が10年債200億円を募集した他、電源開発(R&I:A+/JCR:AA+/Moodys:A1)も20年債100億円を募集している。国債対比+30bpsのスプレッドが付された電源開発債は、0.688%クーポンとなっている。とは言っても、BBB(R&I)格の共同印刷の7年債より利回りは低い。

前週の日産フィナンシャルサービスと比較されるのが、トヨタファイナンスの起債である。両社とも3年債及び5年債を募集したが、日産フィナンシャルサービスは3年債400億円と5年債100億円の組合せで、トヨタファイナンスは3年債250億円と5年債150億円の組合せである。R&Iの格付けでは前者がA+格で後者がAA+格と大きな差となっているが、3年債のクーポンは0.001%で横並びとなっている。正しく言えば、「ほふり」のシステム設計上、最低クーポンで並んでいると言うべきか。地方公共団体金融機構の5年債や日本政策投資銀行の3年債及び5年債と横並びである。日本政策投資銀行の3年債が100円1厘のオーバーパー発行であったのと同様、トヨタファイナンスの3年債も100円2厘のオーバーパー発行である。社債としては、最低の応募者利回りを更新した形になっている。これも、トヨタの冠だからなせる発行条件なのであろう。

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