国内起債市場を斬る 起債評価:7/17~7/20

23日(月)大暑の今日、埼玉県熊谷市では国内観測史上最高気温となる41.1度を記録、岐阜県多治見市でも40.7度を記録し、各地で猛烈な暑さとなった。これまでの国内の過去最高は2013年8月の高知県四万十市の江川崎で観測した41.0度。 東京都内の過去最高は、2004年7月に東京都心と練馬区で観測した39.5度だった。 気象庁によると、太平洋高気圧の上にチベット高気圧が重なり、気温が高い状態が続いている、とのことだ。地球温暖化やその原因等に対し異論を主張する組織や学者も、こう暑いと声も小さくなる。
過去、熱中症による死亡数の年次推移を見ると、2010年に1,731人、2013年に1,077人が亡くなっている(厚生労働省政策統括官付参事官付人口動態・保健社会統計室発表)。

起債市場も熱い展開が続いている。前週のみずほフィナンシャルグループのような超大型起債はないものの、東京電力パワーグリッドの2本立て計1,000億円の他に、地方公共団体金融機構がFLIP債11本で計650億円を募集しており、金額・本数ともに大きな数字となっている。

もっとも売行きの良かったのは、東京電力パワーグリッドの2本立てだろうか。5年債は0.43%クーポン、12年債は0.89%クーポンである。格付けはBBB+(R&I)格及びA(JCR)格と2ノッチのスプリットがあるため、投資家は格付符号を鵜呑みにせず自らが評価を慎重に行うべき発行体である。5年債のクーポン0.43%は、2日後に募集された近鉄グループホールディングスの0.2%と比べると、圧倒的に分厚い水準である。近鉄グループホールディングスの格付けは、BBB(R&I)格及びBBB+(JCR)格と東京電力パワーグリッドを下回る水準である。その他に、この週に募集された5年債のクーポンを見ると、サントリー食品インターナショナルの0.07%や興銀リースの0.2%は、小さい水準である。唯一、初めて社債募集を行ったマクロミルは、R&IのBBB+格で東京電力パワーグリッドと同じ格付けであり、クーポンは0.45%とほぼ同水準である。しかし、安定した基盤を有する東京電力パワーグリッドと、ネットリサーチ会社というITに依拠したマクロミルが同程度の格付け・クーポンというのは、隔世の感がある。

一方、東京電力パワーグリッドの12年債は0.89%クーポンと、得難い高水準の利回りになっている。何しろこの週で募集された社債等の中でも、この水準を上回るのは、近鉄グループホールディングスの20年債の0.955%だけであり、日本碍子の20年債0.86%がそれ次ぐ水準である。日本碍子の格付けは、R&IのA+格と東京電力パワーグリッドより3ノッチ高く、年限の差があって、ようやく3bpsの利回り差となっている。東日本大震災の処理過程を見ると、投資家は時価評価の必要がなければ、東京電力パワーグリッド債を持ち切りで保有する効果は高いものと想像できる。未だにすべての投資家が購入に殺到する銘柄とはなっていないが、高利回りの期待できる投資対象として多くから評価されているのである。

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