国内起債市場を斬る 起債評価:1/15~1/19

2024年に入って第2週目の起債市場では、かなり活発な動きが見られた。元日の能登半島地震の影響から日銀の金融緩和見直しが先送りされるという観測が台頭。金利の先高感が薄れ、起債を急ぐ発行体と資金消化を狙う投資家の双方でスタンスが変わり、需給バランスが一変した感がある。少なくとも、投資家の購入意欲は根強い。金利が上がらなくても、社債等に対する購入意欲は十分に見られているようだ。

ボーナスシーズンの余波であるかのように、個人投資家向け社債でクレディセゾンの5年債150億円とソフトバンクの7年債1,400億円が条件決定され募集が開始されているが、それ以外の機関投資家向けの社債等も水曜から金曜の3日間で多くが募集された。財投機関債等では、地方公共団体金融機構の10年債および20年債、日本高速道路保有・債務返済機構が18年債及び22年債、日本学生支援機構の2年債と多様な年限で募集された。クレディセゾン以外のノンバンクも、JA三井リースやアイフルが社債を募集している。起債シーズン入りして早めに動く業態としてすぐに上げられる銀行でも、三井住友信託銀行のシニア5年債の他、群馬銀行と三井住友フィナンシャルグループの永久劣後債で、合計2,500億円近くが募集されている。もう一つの早く動きがちな業態であり電力債でも、関西電力が10年債と20年債で計350億円を募集している。

しかし、何と言ってもこの週の起債市場で目立ったのが、相変わらずのSDGs債である。日本高速道路保有・債務返済機構の2本立てと日本学生支援機構はソーシャルボンド、JA三井リースの2本立てのうち5年債はサステナビリティリンクボンドで、最大のグループとなったのがサステナビリティボンドであり、岩谷産業の7年債及び10年債の二本立て、京阪ホールディングスの5年債が認定されている。加えて、世界で初となる海運会社によるブルーボンドが、商船三井の5年債として募集されている。これまでのブルーボンドは漁業関連の発行体であったが、所詮ブルーボンドはグリーンボンドの一種であり、海運会社であっても認定を受けることが可能なのである。世界初の海運会社によるブルーボンドだからと言って、投資家に簡単に刺さるものではないだろう。投資家から適正な発行条件であると評価してもらうことが前提である。

商船三井の5年債はJCRのA+格を取得し、国債対比+41bpsのスプレッドで募集されている。この週に募集された他のAゾーンの5年債の国債対比スプレッドを見ると、R&IのA格である丸井グループが+42bps、R&IのA-格を取得した文化シャッターが+47bps、同じくR&IのA-格である京阪ホールディングスが+36bpsといった状況である。やや業種などによる差が出ているように見えるが、決して全般として割高感はないように見える。投資家の社債等に対する購入意欲は強く、表現は下品だが、しばらくは入れ食いの状況が続くのではなかろうか。

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