国内起債市場を斬る 起債評価:2/6~2/10

ようやく起債市場が動き始めた。もっとも、動きを見せている発行体の多くは、公共関連の債券である。毎月の財投機関債や地方公共団体金融機構債が中心であるが、年度末が近付く中で、年度計画の消化に動く高速道路会社債も目立っている。

財投機関債の中でも、ほぼ常連化しているのは、都市再生機構と住宅金融支援機構だろう。前者は、格付けではR&I・JCRともAA格と日本国債よりも1~2ノッチ下の評価であるが、ムーディーズの格付けはA1格で日本国債と同水準である。かつてのような民営化検討の話もなくなっており、比較的タイトな国債対比スプレッドでプライシングされている。募集されたのは20年債と30年債各100億円で、国債対比スプレッドは20年債が+5.5bps、30年債は+14bpsであった。超長期金利の上昇を受けて、30年債のクーポンは1.013%と、1%を上回る水準になった。当然、投資家の需要は強い。

一方、住宅金融支援機構は5年債100億円と10年債150億円を募集している。国債利回りの上昇から、10年債が国債対比のスプレッドプライシングが可能になっており、+16bpsの条件で決定されている。地方公共団体金融機構(旧公営企業金融公庫)の10年債150億円が国債対比+15.5bpsで条件決定されており、いずれも日本国債と同等の格付評価を得ていることから、この辺りが最上位格付け銘柄に付されるスプレッドの居所のようである。

中部国際空港の財投機関債は10年債であっても、株式会社形態であり、格付けがR&IのAA-格であることもあって、国債対比のスプレッドは+22bpsと厚い。金融機関のように自己資本比率規制上のリスクウェイトを意識しなければならない投資家なら購入には積極的になれないかもしれないが、利回りの絶対水準と国債対比スプレッドを意識する投資家には手が出し易い条件かもしれない。潰れないと考えるならば、投資妙味はある。しかし、西日本高速道路の10年債250億円は、国債対比+24bpsのスプレッドで条件決定されている。財投機関債の枠組みには入らないが、日本高速道路保有・債務引受機構による重畳的債務引受条項が付されており、順調であれば最終的には、財投機関の債務となる予定である。格付けは、R&IのAA+格、JCRのAAA格、ムーディーズのA1格といずれも日本国債と同水準なのであるから、株式会社形態ということによるプレミアムが乗っていると考えるしかない。規制によってプライシングが影響を受けたという典型例である。

コメントは受け付けていません。