国内起債市場を斬る 起債評価:5/22~5/26

相変わらず金曜日に債券の募集が集中するが、前週の19日から起債ラッシュがつづいている。26日の募集も多いが、23日から25日も決して少なくない。23日の火曜日が3発行体で5回号600億円、24日の水曜日が6発行体で10回号1,170億円、25日の木曜日が4発行体で6回号1,990億円、そして26日の金曜日が7発行体で15回号計2,750億円と分布している。回号が少なくても金額は水曜日以降1,000億円を超える募集額になっている。

金額が大きいのは、中日本高速道路の5年債が1回号で990億円を募集したためもあるが、それ以外の特徴としては、一つの発行体が複数年限の募集を行う例が頻出したこともある。二本立ての募集が、中部電力の10年債および20年債計300億円、東急不動産ホールディングスの5年債及び15年債計200億円、九州電力の5年債及び10年債計200億円、日本郵船の5年債及び7年債計300億円、ツムラの7年債及び10年債計300億円といった銘柄である。三本立ての募集は、ユニゾホールディングスの5年債・7年債・10年債の計300億円、東京地下鉄の10年債・20年債・30年債の計300億円、りそなホールディングスの3年債・5年債・7年債の計600億円、大和ハウス工業の5年債・10年債・20年債の計350億円と続く。その上に、四本立ての起債では、トヨタ自動車が3年債・5年債・10年債・20年債で計1,000億円を募集したのである。

複数年限にわたる募集は、時として同じ発行体の起債でも年限によって売行きの異なる結果になることがある。年限ごとに投資家の需要が異なることや、利回りの絶対水準が異なることなどが、売行きの差をもたらす要因になる可能性がある。国債対比のスプレッドが流通市場の実勢と大きく乖離しているような場合には、投資家の需要が大きく損なわれるだろうし、同日にもっと魅力的な発行条件の募集があれば売れなくなる可能性もある。

この週の募集を見ても、年限によって大きく売行きに差の生じた起債の組合せが幾つか確認されている。東急不動産ホールディングスは、利回りの優れない5年債が消化に苦戦する一方、クーポンが0.79%と高水準になった15年債は順調に消化されている。不動産の業種特性を考えると、15年債は相当リスクが高いと考えられるのであるが。また、大和ハウス工業の三本立ても同様の構図で、クーポンが0.771%となった20年債は順調に消化されたものの、5年債と10年債は消化が難航した模様である。合計で1,000億円を募集したトヨタ自動車の四本立ても、利回りの高い10年債及び20年債は人気を集めた一方で、3年債と5年債は売行きが振るわなかった。日銀オペ見合いの3年債募集は、もはや機能しなくなったと見るべきだろう。

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