国内起債市場を斬る 起債評価:10/23~10/27

下期入りした起債市場の賑わいは、最初の2週間ばかりで、また、休憩モードとなっている。最大の要因は9月末決算の発表であり、ちょうど日銀の金融政策決定会合も月末に予定されているため、無理に動かないというのが適切だろうか。何も日銀の金融政策決定会合で、社債オペに対する見直しがあるとは思われないし、国債買入れのペースに変更があるとも思えない。唯一あるのは、金融・物価情勢の展望で、どのような先行きを想定しているかを示すことであろうか。それ以外にも、片岡審議委員が執行部提案に対してより金融緩和を強化する対案の提出を行うかどうかも市場参加者の注目を集めているが、過半数の賛成を獲得できる可能性がないために、今は興味を引くのみである。

こうした状況での起債は限られる。社債は、三井住友トラスト・パナソニックファイナンスのみである。松下電器産業(現在のパナソニック)が設立した信販会社に系列のリース会社を統合したものに住友信託銀行が資本参加し、更に、住信リースが合併したものである。現在では、三井住友信託銀行の出資比率は約85%であり、パナソニックが残りの約15%を出資している。企業向けと同時に個人向けのファイナンス事業を営んでおり、メーカー系のファイナンス会社であると同時に、銀行系ノンバンクである。上場会社ではないことなどから、今回の起債は有価証券届出書に基づくもので、第一回債及び第二回債の初物となっている。

同社が募集したのは、3年債及び5年債各100億円であり、3年債のクーポンは0.12%で、5年債のクーポンは0.25%であった。同社の取得した格付けは、R&IのA格及びJCRのA+格である。今月の18日に三菱UFJリースが同様に3年債と5年債を募集しており、同社はR&IのA+格及びJCRのAA-格と1ノッチずつ、三井住友トラスト・パナソニックファイナンスを上回っている。三菱UFJリースの3年債は0.08%で、5年債は0.2%とどちらの年限も数bpsずつ低いクーポンになっている。三井住友トラスト・パナソニックファイナンス債は、初回債ということもあって、どちらの年限も問題なく消化されたようだ。

この他には、日本政策金融公庫が2年債500億円を募集している。0.001%クーポンで発行単価が100円00銭02厘のオーバーパーであり、応募者利回りは0%となる。残存2年の国債利回りがマイナスになっているために、国債対比スプレッドはプラスになっているが、保有する意味はあまりない。なお、今回調達した資金は、国民一般向け業務に充当するとされている。

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