国内起債市場を斬る 起債評価:11/20~11/24

勤労感謝の日を跨いでの飛び石連休で、営業日が少ない週であったが、年内最後の起債シーズンは徐々に盛り上がりを見せるようになって来た。前週とは打って変わって、鉄道や財投機関債以外に、メーカーの起債も少なからず見られるようになっている。

まず、起債が集中したのは、鉄道であった。JR東海の3年債は、日銀オペの意識もあって、当然のように順調に消化されている。3年債の100億円という規模は、まったく問題ない消化状態になるのも当然である。次に、小田急電鉄と京王電鉄がいずれも10年債及び20年債各100億円の起債を行っている。いずれも東京新宿をターミナルとする東京都西部を基盤とする鉄道会社であるが、JCRの格付けでは、小田急電鉄がAA-格で京王電鉄がAA格と1ノッチの差が付されている。この格付け1ノッチ差が、国債対比スプレッド+1bpの差で十分とは思えないのであるが、格付けの高い京王電鉄の10年債が国債対比+27bpsで、小田急電鉄の10年債が同対比+28bpsで条件決定されており、同様に20年債も京王急電鉄の国債対比+17bpsに対し、小田急電鉄は同対比+18bpsと、両年限とも揃った形になっている。格付け差に配慮したように見えるが、1bpの差では信用力を反映したとは言えないだろう。基本は、両社横並びに限りなく近い。いずれも順調に消化されたようではあるが。

この週の起債の消化状況で目立ったのは、いつも通り20年債が順調に売れているのだが、10年債もそれと同じかむしろ上回るくらいの売行きを示したことである。10年国債の利回りが低下したこともあって、社債に人気がシフトしたことに加えて、流通市場の実勢に配慮した小額の起債であったことも効果があったようだ。既に触れた小田急電鉄と京王電鉄の10年債のみならず、同年限で募集したセントラル硝子や清水建設、トピー工業についても、社債の売行きは順調だったようである。

10年債で唯一売行きに赤信号が付されたのが、ユニゾホールディングであろうか。ただし、同社の社債は、5年債・7年債・10年債各100億円を募集する予定であったが、投資家の需要を反映して、最終的には5年債80億円、7年債60億円、10年債50億円と募集金額の調整が行われている。発行額を減らしたことで、大きく売れ残るといったことはなかった模様であるが、当初募集予定額を全年限で下方修正したのは、珍しいことである。

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