国内起債市場を斬る 起債評価:1/15~1/19

このタイミングでの起債は、なかなか多くならない。第4四半期の頭に募集するという起債もあるが、これから12月末決算の発表タイミングや年度内の実質的な起債募集時期が3月頭までということもあって、むしろ市場の様子を探るべき時間帯である。それでも、まず動くのは、ノンバンクや電力といった顔触れであり、この週はプチ起債集中となったが、なかなか募集の続く案件は多くないようである。

この週の起債をセクター別に見ると、ノンバンクがリコーリースの3本立て計250億円に、JA三井リースの100億円とオリエントコーポレーションの3本立て計300億円で、全部で650億円に上る。次に、電力は中国電力の100億円、九州電力の100億円、関西電力の300億円、東京電力パワーグリッドの2本立て計1,000億円で、合計1,500億円と、電力連合軍が最大勢力である。他にも、鉄道関連が、JR東日本の4本立て計400億円、近鉄グループホールディングスの2本立て計200億円で、合計600億円と二つの発行体ながら大きな金額となる。また、公共債も多く、地方公共団体金融機構の2本立て計250億円に、東日本高速道路の2本立て900億円、日本学生支援機構の300億円と、合計で1,450億円と大きな金額になっている。他には、住友商事の15年債やヒューリックの劣後債の他、王子ホールディングスの2本立ても募集されている。

これらの中で、売行きの良くなかった銘柄の共通点を挙げると、超長期社債ということになろう。ただし、JR東日本の30年債と40年債は問題なく消化した模様である。いずれもクーポンが1%を越えていることも売行きに貢献したことだろう。ところが、同じJR東日本の社債でも20年債は、0.675%クーポンの国債対比+8bpsの条件では売れなかったのである。また、中国電力の20年債は国債対比+21bpsの0.8%クーポンであったが、売行き不調であったようである。更に、住友商事の15年債も国債対比+33bpsの0.656%クーポンで売れなかったようである。

現在の市場の雰囲気では、超長期の11年以上20年程度の年限については、スプレッドがしっかり乗らない限り、直利1%を超えないので売れない可能性が高く、また、スプレッドがあまりに乗るような信用度の低い銘柄については、現実超長期の起債は難しい。少なくともセカンダリー対比や類似銘柄対比で割高なスプレッドでは、投資家は慎重なスタンスを変えてこない状況である。ベースとなる国債の利回りが上昇しない限り、暫くはこういった展開が続くものと思われる。

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