国内起債市場を斬る 起債評価:1/22~1/26

予想はしていたが、起債がばったりと止まった。地方公共団体金融機構のFLIP債が2本、日本高速道路保有・債務返済機構の財投機関債が1本、それに社債が1本といったロットである。地方公共団体金融機構債もFLIPにしては多めとなる各々100億円以上のロットであったが、それでも4本の総合計は530億円に過ぎない。まあ、細々と暫く起債の見られる展開が続くことになるだろう。

唯一の民間セクターの起債は、明治ホールディングスによる5年債であった。明治製薬と明治乳業は元来同根であったが、持株会社設立による経営統合は2009年のことであった。傘下には、事業再編によって食品事業の明治、薬品事業のMeiji Seikaファルマの二つが中核の事業子会社である。前者の食品については、チョコレートや牛乳、ヨーグルトといったところが容易に浮かぶだろう。なお、歴史的な経緯から、うがい薬(かつては“イソジン”ブランドであったが、2016年に商標権を持つ米国の製薬会社とのライセンス契約を終了している)は、現在でも食品事業子会社の商品である。後者の薬品は、ジェネリックを含む医療用医薬品や農薬等が主力で家庭薬は取扱っていない。そのことも、うがい薬が食品事業の取扱いになっている理由なのだろう。

今回の起債は5年債の第8回債である。必ずしも頻繁に起債する発行体ではないし、食品事業を通じて消費者への知名度も高く事業の安定性に対する信頼も強い。格付けはJCRのA+格であり、まずまずの信用評価を得ていると言って良いだろう。投資家の強いニーズを集めて順調に消化した模様である。知名度の高さに加えて、食品事業という安定基盤を持つことが高く評価されたようである。しかし、食品にしても医薬品にしても、ヘッドラインリスクや風評リスクに対しては弱い。事前の調査で萌芽を感じられるようであれば、投資は見送るべきであるが、近年の歴史を見ると、まったく予想されていなかったことが生じることも珍しくない。投資金額は抑え気味にしておくべきだろう。風評リスク等はコーポレートリスクであり、同発行体の別の回号を持っていても、影響が及ぶのであるから、年限の分散には限界がありそうだ。

当面、起債市場は寂しい展開が続くと思われる。年度内の募集可能年限があと一ヶ月になった頃くらいから、展開も変わって来るのだろう。足元では、間もなく2月に入ることもあって、財投機関債などの公的優性の時間がもう1~2週間程度続くものと考えられる。

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