国内起債市場を斬る 起債評価:12/4~12/8

前週は12月1日(金)に大量の社債等が募集されていたが、この週も年末を控え少なからずの募集が見られ、各曜日に広く分散する発行となった。休日明けの月曜日には募集されないし、水曜日はみずほリースの1件のみ。結果として、木曜および金曜と週後半に募集が集まって来るのは仕方ないだろう。まず、業種が多岐に渡っているのが一つの特徴である。一般に起債シーズンで早期に社債等を募集するのは、電力やノンバンク、銀行といった起債に慣れている発行体であり、その後、メーカー等がおもむろに登場して来る展開が普通である。そのため、シーズンの後半はメーカーやレアな発行体が目立つことになりがちである。もっとも、ノンバンクに関しては発行体の数が多いこともあり、満遍なく募集されているようにも見える。

実際にこの週に募集された社債等の顔触れを見ると、まず大分類でメーカーに含まれるのが、三菱電機と日立製作所が電気機器、レンゴーはパルプ・紙、日本ピラー工業は機械、アシックスはその他製品とバラエティーに富み、メーカー以外の業種でも、戸田建設と長谷工コーポレーションは建設、ヤマタネとアルフレッサホールディングスは卸売、FOOD&LIFE COMPANIESは小売、JR九州とNIPPON EXPRESSホールディングスは陸運、みずほリースとクレディセゾンはノンバンク、イオンモールは不動産と様々である。その他に財投機関債を募集したのは、都市再生機構はフリークエントイシュアーであるが、福祉医療機構と沖縄振興開発金融公庫は時々しか出て来ない銘柄である。

この週に社債等を募集した企業を見ると、多くが起債頻度の低いレア銘柄であることがわかる。中でも、NIPPON EXPRESSホールディングスと日本ピラー工業、アルフレッサホールディングスはいずれも第1回債を募集している。また、回号が一桁の社債を募集した発行体も、アシックスにFOOD&LIFE COMPANIESと複数見られている。こうした初回やレア銘柄で多様な業種が社債等を募集するのは、社債募集シーズンが間もなく終わるということの表れでもある。

募集された社債等は金利の先高感がある中でも、レア銘柄を中心に投資家の需要を集めており、概ね順調に消化しているようである。また、このようにレア銘柄が頻出する中でも、SDGs債の募集は続いている。グリーンボンドとして募集されたのが、ヤマタネの3年債、JR九州の5年債(10年債は通常の社債)、三菱電機の5年債及び10年債、日立製作所の5年債(7年債と10年債は通常の社債)、日本ピラー工業の5年債、イオンモールの5年債(他の年限は通常の社債)で、ソーシャルボンドはアルフレッサホールディグスの5年債と福祉医療機構の10年債で、サステナビリティボンドは都市再生機構の5年債及び10年債と沖縄振興開発金融公庫の10年債であり、サステナビリティリンクボンドとして募集されたのがみずほリースの4.5年債(償還2028年6月12日/利率=0.639%/発行価格100円)と、様々な種類が登場している。もう1週間ほど年内の起債シーズンは続く日程であり、起債観測は複数上がっているようだ。

コメントは受け付けていません。